【第82回桜花賞(G1)】出走馬全頭診断②

重賞展望

写真:JRA

桜花賞

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出走馬全頭診断⑩~

⑩ライラック

私個人としてはこの馬は高く評価しているのでフェアリーS(G3)で5番人気の低評価に甘んじていたことは有難かった。低人気の理由はなす術もなく敗れた京都2歳S(G2)の内容からではあるが、同週に東京で圧倒的に与し易い牝馬限定レースがあるにも関わらず西下したところから、陣営もこの馬の資質に確かなものを感じていたのだろう。

  • デビューから3戦馬体重を減らし続けている。
  • 唯一の関西戦が惨敗。

今回も上記のような明確な不安があり、勝ったフェアリーSにしても泥騎乗だった2着スターズオンアースに名手が乗っていれば負けていたかも知れない。

とはいえスタートで後手を踏み、大外を回しながらも、そこから重心を低くし、沈み込むようなフットワークで伸びて来る姿はやはり一流馬のものだった。

馬のフットワークなど余程脳内が競馬に汚染されている人間以外は気にしないものだが、事実それは一頭一頭の個性として確かに存在する。因みに私は重心の低いこのタイプを「首で走る馬」とし、高評価の材料としている。

ただ、概ねこのタイプには距離が伸びた方が良いタイプが多いので、ライラックにマイルは少し忙しいだろう。馬体を減らす恐れのある関西遠征も相まって推し馬だというのに全く来る気がしない。どう考えても適性は次のオークス(G1)にある。

それでもなお、潜在能力の高さと福永が空いていた運、そして好枠に加え人気も一息なら一考の余地はあるだろう。

⑪ラブリイユアアイズ

主戦団野のケガによって今回は坂井瑠星に乗り替わり。まずは阪神JF回顧記事を見返そう。

2着⑪ラブリイユアアイズ

デビュー戦から連続で減らしての-10㎏はこの馬にとって決して好材料ではなかったはず。クローバー賞の時はふっくらしていた馬体が前走でいくらかシャープさを増したが、今回はトモの肉が落ちて線が細い状態で元気もなく頼りない。

さらにレース序盤の接触で少しかかり気味になり、ほぼ終焉となりかけた。しかし、ここで団野は上手くウォーターナビレラの後ろに付けてダメージを最小限に抑えている。

かろうじて事なきを得、落ち着きを取り戻したラブリイユアアイズは直線もギリギリ馬場の良い所を選び、とんでもない勝負根性で2着まで浮上した。

これがG1初連対となった団野の好騎乗も見逃せないが、輸送減り込みのあの状態であわやの好走を見せた以上はこの馬の能力の高さを認めないわけにはいかない。そして、出来れば次走は間隔を開けて体の回復と成長を促して欲しい。

考えてみれば新馬戦で負かしたメンツも相当で、2着馬トーセンヴァンノは札幌3歳Sで3着。3着ファーンヒルは本日2勝目を挙げ、5着凡走のアウトパフォームは次戦で前日行われた函館2歳Sの勝ち時計を簡単に上回った。

思い返せば阪神JFは普通なら着外の内容にも関わらず2着し、その後しっかり休養に充てている。勿論中身が伴っている事が前提だが当日出来れば+20㎏くらい増えていれば力は出せるだろう。

最近のJF2着馬からはクロノジェネシス、リスグラシューと古馬になって大爆発した名牝2頭を輩出。また2013年ハープスター、2014年レッツゴードンキは翌年桜花賞馬となっており、それらの猛女達に比べてラブリイユアアイズはややおとなしめの印象で人気の盲点となっているが、どれだけ黒い部分を隠し持っているか知れたものではないのが女の子の恐ろしいところだ。違うか?

⑫ベルクレスタ

須貝厩舎&吉田隼人のコンビは昨年のソダシに続く連覇を狙う。昨年は最大の強敵サトノレイナスが大外⑱番に追いやられた幸運に加え、能力的にも隠れ3番手ファインルージュまでが圏内と全てに恵まれたが、一変して今年は伏兵の立場での参戦となる。

とはいえ、新馬戦から悉く強敵に揉まれ続けながらも馬券外は阪神JF(6着)だけという戦績からも、展開一つで大物食いは十分に考えられる。

その阪神JFにしても有利とは言えない⑯番枠からスタート直後に少しトモを落とした事に加え、内に向かえず常に外々を回らされる展開でもなお十分な見せ場を作った事は評価に値する。

また、前走クイーンⅭ(G3)は馬場考察2/12~13によると東京は内枠不利。②番枠から進路を外に持ち出してからの小差3着の地力は見逃せない。

⑬ラズベリームース

アネモネS2着で出走権を確保。亜流トライアルの2着馬という事で注目度は低いが鞍上が津村から池添へ替わった事が一つのカギ。テン乗りで結果を出したにもかかわらず降ろされた津村は不憫だが、フィリーズレビュー勝ち馬サブライムアンセムからしてみれば仲良く重賞デートをキメ込んだ浮気相手を取られて望来と元サヤという展開もまた不憫ではなかろうか。

因みに本馬の母ワイルドラズベリーは2010年アパパネが牝馬3冠を制した年に牝馬クラシック戦線で活躍。桜花賞は10着に敗れたが、秋華賞では4着まで追い込んで来ている。そしてその秋華賞で手綱を取ったのが池添であり、今回コンビを組むことになったのはどうやら偶然ではなさそうだ。

池添と心中して爆穴が炸裂した暁にはラズベリームースを頬張りに行こう。

⑭プレサージュリフト

無敗馬で底が知れない。

今回の本馬に対する評価は概ねこんなところだろう。東京のデビュー戦で繰り出した末脚は他馬の時間を完全に止め、時空の彼方を走っているようにさえ見えた。

その末脚は2走目となるクイーンⅭ(G3)でも遺憾なく繰り出され、スターズオンアース以下を封じて無傷のまま本番へと駒を進める事となった。

実績で本馬を上回る⑯サークルオブライフや⑱ナミュールと人気を分け合う事になるだろうが、その人気馬達も勝負付けが済んだような馬はほぼいない。あくまで今回の桜花賞の人気はイメージ的な人気(派手さ)に比重が傾いており、能力を完全に反映しているものとは言い難い部分がある。

その中でもプレサージュリフトの派手さは確実に上位に支持されるものではあるが、所詮はキャリア2戦で関西遠征も初の若駒ならば大惨敗も有り得る事を念頭に置いておこう。

彼女は3冠クラスと自信を持てる人ならフル全ツで単勝一本。勿論それすら通過点となり得る逸材かも知れない資質は見せている。

⑮アネゴハダ

実は新馬戦からちょこちょこお世話になっていて思い入れがあるアネゴハダ。世代重賞を4戦して(0.0.2.2/4)の成績は威張れるほどではないが、自分の能力分はきっちり走るという点は大阪杯のポタジェに通じるところがある。

前走のフィリーズレビュー(G2)にしても、逃げ先行馬壊滅の流れを只一頭前目で頑張った事はもっと評価されていい。

⑯サークルオブライフ

阪神JFの結果からも2022年牝馬クラシックはこの馬を中心に展開していくことが予想されたがチューリップ賞でナミュールによもやの完敗。いざ迎える本番も外枠を引かされ、昨年に比べて明らかに逆風が吹いているように思える。

しかしながら昨年の阪神JFでは後方から折り合いに専念し、直線は外に持ち出すと決め打ちしていたようなミルコの騎乗ぶりは本馬に対する大きな自信の表れであり、実際に彼女はそれに応えている。

チューリップ賞はトライアルという事もあり少し前目でレースを運んだが、やはりこの馬の持ち味は強靭な末脚。どっしり構えて脚を溜めれば久しぶりの飛行機ポーズが見られるかも知れない。

⑰フォラブリューテ

馬名のVoller Bluteはドイツ語で「満開」を意味する。

マイルCS(G1)覇者である母ブルーメンブラッド(Blumenblatt)の馬名はこちらもドイツ語で「花びら」の意。

生産者と出資者の方々の夢と希望とセンスに埋め尽くされて、桜満開にする気に満ち溢れたネーミングは非の打ち所がない。名前買いするなら間違いなくこの馬だ。

一線級との対戦は少なく、戦闘能力の程は不透明だが今回の人気は先述した通りイメージによるものが多くを占めるので一度の凡走だけで評価を落とすのは非常に危険。

「結局デムルメかよ!」って何回嘆いたかあなたは覚えているか?

⑱ナミュール

ハデハデの実でも食べたか、宇随天元の嫁かというくらいレース振りが派手な馬で今回も派手に一番人気に支持されるであろう前評判から大外を引くようにとにかく派手で目立つことが大好きな馬。派手に出遅れるし毛色も派手な栗毛。

もはやハデールと呼んでしまいそうなくらい好きになって来たが、肝心の素質も大層なものを持っているからこそ目を付けて来たのも事実。

まさか一番人気になるとは予想してなかった阪神JFで派出遅れからイン突き上がり最速4着というⅭ.デムの失態から春クラシックの出走権が怪しくなり、チューリップ賞で渾身の仕上げ。期待に応え圧勝したが、反動が怖い事は先にお伝えしておく。そして勝負付けの済んでない相手が多い中、些か人気だけが先走っている感もある。

また、横山武史&キャロットファームの組み合わせは先週~先々週と2週続けてG1で1番人気を飛ばしており、当然ここも油断出来ない。大外⑱番で大出遅れなどしようものなら目も当てられない。

ハデールの推し記事が見たければ適当な桜花賞記事を漁れば大抵良い事が書いてあるからこの馬に関してはそれに目を通せばよいと思う。

私が思うにこの馬に関しては全能力を発揮出来るか否か。それが全てだ。

調教評価

ざっくりとA~Bだけ。

A ⑯⑦⑧

B ①⑮③⑱⑬

まとめ

土曜日の結果を見る限り馬場考察4/9~10 阪神と寸分の狂いもない馬場である以上、瞬発力不足の馬は厳しい。スローの展開になればジェラルディーナのように上がり最速を駆使しても全く届かないので、ある程度は位置が取れない事にはこれまた厳しくなるだろう。

◎ ⑧スターズオンアース

終いがしっかりしてて、且つ先行力もあり、そして調教も抜群。年明けの重賞2戦はほぼ勝ちに等しい内容。赤松賞でナミュールに差を付けられているのでこの人気だが、赤松賞は道中やや折り合いを欠いたことにより最後のキレを欠いたと見る。

〇 ⑫ベルクレスタ

人気を落とす要因となったJFはむしろ強い内容。クイーンⅭは内枠不利の条件で、わざわざ外に持ち出してからプレサージュリフトを上回る伸びを見せたのは収穫。

▲ ⑭プレサージュリフト

前日アカイトリノムスメで不運に見舞われた戸崎の流れが今日どう転ぶかは不明だが、本馬は今回の◎〇に先着している事実は重視したい。初の関西遠征、持ち時計不足と不安はあるが、それを跳ね除ければ無傷の戴冠も。

△ ⑯サークルオブライフ

2歳女王がここに来て上昇気配。追い切りが秀逸だった。

△ ⑦サブライムアンセム

レコードの反動を心配したが、1週前の動きが爆絶。1400mとはいえ高速決着を経験しているのは強み。前述の通りフィリーズレビューは軽視されがちだが過去10年で2頭の勝ち馬を輩出している。

あとはパドックで少し押さえる馬を探すだけ。

 

 

 

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