有馬記念:出走馬の参考レース
PKまでもつれたフランスとの大激戦を制し、メッシ擁するアルゼンチンが36年ぶり3度目の優勝でワールドカップも閉幕。余韻に浸る間もなく今年もグランプリ有馬記念(GI)がやってくる。
ひととおりアルゼンチン&メッシおめでとうコメントが出尽くした後にまず目に飛び込んで来たパワーワードは「牛フォーリア」
昨年の世界最強馬が単なる伏兵の雄牛と見做されている部分だけを取り上げれば今年は恐ろしくハイレベルな戦いが繰り広げられることが予想される。
毎年のことだが3歳馬も強ければ古馬も強豪揃い、牝馬も大活躍傾向の有馬記念はどこからでも攻められるレース。だからこそ普段は競馬に馴染みの無い方でも存分に年末の風物詩を楽しんでいただきたい。なお、
このおウマさんキャワイイー(⋈◍>◡<◍)。✧♡
といったUMAJO属性の運ゲもいいが、こちらは孤高の悪魔的ガチ野郎なので狙い澄まして勝ちに行く。
これが有馬記念ファン投票1位の姿だ pic.twitter.com/GYYLk8CJ7q
— スヤ (@samunepon) December 10, 2022
可愛い(;´・ω・)
では出走各馬のレースを振り返っていこう。
凱旋門賞(GI)
10/2 ロンシャン芝2400m 日本馬爆絶不利
日本の馬場と全く性質が違うため、100年を超える歴史で地元ヨーロッパの馬以外は未だに勝ち馬が出ていない凶悪なレース。さらに当日は土砂降りとなり重馬場。贔屓目に見ても勝ち目はほぼなかった。
凱旋門賞に限ってはレース内容がどうこうよりも帰国後の体調がどうであるかの方が有馬記念では重要。
11着 タイトルホルダー
日本馬の総大将として悲願に挑んだ。ただでさえ厄介な馬場に加えレース当日に大雨。そして道中はブルームに散々絡まれるという不運に見舞われたが、直線半ばまで大きな見せ場を作ったのは流石と言う他ない。
なお、これまでの傾向では凱旋門賞帰りで有馬記念当日5番人気以内に支持された馬は概ね勝ち負けに持ち込んでいる。
18着 ディープボンド
昨年同様馬群に沈む。参考外。
天皇賞・秋(GI)
10/30 東京芝2000m 圧倒的に外枠不利
超絶欠陥コースで多頭数の外枠引いたら人気でも軽く飛ぶ。
1着 ⑦イクイノックス
パンサラッサだけがマイペースで飛ばし、2番手以降はドスローの瞬発力勝負という願ったり叶ったりの展開利を得た。上がり36.8の馬が2着に残れてしまう史上最低レベルの秋天になってしまったが、この馬自身が叩き出した上がりは32.7と超絶なので評価を下げる必要はない。
春のクラシックでは無冠に終わったが、どちらもやや展開に負けての2着。古馬相手の秋天を制覇をした今なら世代最強と称してもなんら差し支えないだろう。
爆発的な瞬発力を武器とするためやはり東京の方が合うと考えられるが、歴代の有馬記念ではそういう理屈を抜きにして『時代の最強馬』が名を連ねる。彼にその資質が無いと思われる方は頭から外せば良い。
- 疲れやすいので連戦出来ない虚弱。
- 中山は向かないのでは。
…といったネガティブな考えもあるが残念ながら見当外れである。
13着 ④ポタジェ
スタートでやや後手を踏みそのまま後方追走。異常なスローだったため一定の脚は使ったもののこれでは見せ場無しもやむなし。
ジャパンカップ(GI)
11/27 東京芝2400m 中枠有利
JCの舞台。ラチ沿いはやや削れて来ているので最内はキツイ。そしてさすがに多頭数の外枠は引きたくないところで差し馬は割と何とかなる事もあるが先行馬は結構厳しい。
そこそこ期待していた器用さの権化⑱ボッケリーニ。ここで気配上昇した⑰ユーバーレーベンの取り捨てに頭を悩ませている。
1着 ⑥ヴェラアズール
充実度、臨戦過程、調教、騎手、枠。どこをどう取ってもこの馬に匹敵し得るのは秋天が7~8分程度のデキだったシャフリヤールのみ。人気はダノンベルーガに少し譲ったがあちらは秋天メイチなので結果だけ見れば至極順当。
普通ならまず抜けてこれないような激詰まりを覆した事実は見逃せず、現在のこの馬の充実度と根性がハンパではない事を証明した。
強引に馬群を割ったところは流石ムーアではあるが、詰まる場所を選択したのもムーア。この勝ちは99%以上馬の力によるものだ。
17着 ⑱ボッケリーニ
現役屈指とも言える器用さを武器にする馬にとって大外枠はレース前にほぼ終戦を告げられたようなものでこの惨敗も仕方なし。
コーナー6回の有馬は性能を存分に活かせる舞台で、好枠を引けば相当面白い存在になり得る。
京都大賞典(GⅡ)
後のJC馬⑩ヴェラアズールの強さが突出。2着②ボッケリーニは立ち回りの上手さを存分に活かしたが歯が立たず。11着③アリストテレスは深刻なスランプに陥っている。
エリザベス女王杯(GI)
11/13 阪神芝2200m 内枠不利
2000mより200m後方からのスタートで最初のコーナーまで約525m。強い馬は容赦なく強さを見せつける良コース。そして内は荒れた。
1着 ⑱ジェラルディーナ
スピードと瞬発力に勝る馬なので当日の雨予報は気になるが、ヨーイドンの展開になれば戴冠は十分可能。
と展望で書いたように戴冠の可能性はあるが、追い切りもさほど動いてはいなかった上に好走歴のない重馬場、血統的な人気を鑑みると旨みはゼロに等しいので軽視した。
ところが内枠地獄で外回しをした馬しか来ない馬場と展開がドンピシャにハマる。先行勢で粘ったのは復調していたウインマリリン(後に香港ヴァーズ制覇)のみ。重ねて上位3頭には馬場が読める腕達者の外国人騎手が占めたということもあってかなり恵まれた感が否めない面が多数。
現役最強クラスが相手となる今回も相当な人気を集める事になるが、有馬こそが試金石であり、そう考えればまたしても旨みは少ない困った娘。
4着 ⑭アカイイト
ジェラルディーナ同様外枠の外回し。昨年も似たようなレース運びだったが今年は相手が一枚上だった。府中牝馬Sより状態面は上がっていたがここ最近は安定感を欠く凡走が目立って来ており若干の衰えがあるのかも知れない。
10着 ⑦イズジョーノキセキ
府中牝馬Sでの鮮烈な勝ちっぷりには驚かされたがこの日は不発。勝ち星のない重馬場でのレース、1コーナーの入りまでに少しの不利と酌量の余地はあるがそれを差し引いても少し負け過ぎ。最低の枠と展開だった④ピンハイにすら先着されるのはいただけない。
16着 ⑰ウインマイティー
先行勢は基本総崩れ。悪いところを通らないよう注意深く乗っていたが4角では既に余力はなかった。
最近はレース振りに幅が出ており長い距離もこなすがさすがに有馬は家賃が高い。
菊花賞(GI)
10/23 阪神芝3000m(内回り) 外枠不利のはずだが…
外回りの桜花賞より最初のコーナーへの入りが早いといえばわかり易いだろうか?理論的には明らかに外枠は不利になる。但し3000mという距離の特性上テレビ馬でない限りは出鼻からビコビコ押していくようなことはせず、ほぼ100%縦長の展開になるため行きたい馬は外からでも比較的すんなり先手を取れるし、後方待機勢もそれほど苦も無く追走出来る。
つまりそれは
①根本的に強い馬
②長距離での折り合いに不安が無い馬
に優位性のある条件であることを示す。
なお、京都でも阪神でも過去の菊花賞を振り返れば勝つのは①、穴を演出するのは②と相場が決まっており、枠順の優劣以上にまずはそこに焦点を当てて予想を組み立てるのが良いと考える。
2着 ④ボルドグフーシュ
残り3Fからのロンスパを敢行し、大本命である三歳五芒星の一角⑭アスクビクターモアを最後まで追い詰めた脚力は目を見張るものがあった。
とはいえ相手はレコードが出る先行勢全滅のハイペースを⑭番枠から出て2番手で進めているため枠順利を鑑みても着差を鵜呑みには出来ない。
さらに今回は福永祐一現役最後の有馬と言う事で要らぬ注目を集めており、「幸せな英雄」という明らかに舞台整えましたよ感が好きになれない。最後の最後にらしさ全開の元祖ソレ4が炸裂したら目も当てられない。
但しこれだけは伝えておく。
菊の疲れなど微塵もなく、ガチで万全のデキ。
※増減は無いが菊花賞時には神戸新聞杯の時に少し付いていたムダ肉を削ぎ落して来ている。しかしこれ以上減って良いことは無い。有馬記念1週前追切では超抜の動きを見せており当日プラス体重で出てこれば万全と見ていい。逆に大幅マイナスの場合はやり過ぎによるもので割引が必要。
3着 ⑰ジャスティンパレス
出たなりの位置で人気のアスクビクターモアを前、ガイアフォースを内に見ながらのレース。徹底的にガイアに蓋をしていたため少し追い出しが遅れたきらいもあるが最後はボルドグフーシュと並ぶ脚色で勝ち馬に肉薄。
春は結果が出なかったが、同期に秋の天皇賞馬がいる世代のGIを4戦して2回馬券内に突入している以上ナメてかかるのは危険。
アルゼンチン共和国杯(GⅡ)
11/6 東京芝2500m 2400mよりは平等
6㈰にアルゼンチン共和国杯が行われるコース。内側もそれほど荒れてはいないが出来れば1枠8枠は引きたくない。馬番⑤~⑧くらいがベストの枠と言えるだろう。
また、スタートから即坂のコースが「逃げ馬」に有利になる事はないことも併せて頭に入れておこう。
1着 ⑦ブレークアップ
超好枠に有力馬がひしめいたが⑤⑥は過剰人気の感たっぷりとなれば4枠の2頭が最有力。⑦ブレークアップは出たなりで3番手。最後の直線でキングオブドラゴンがラチに激突して多くの馬に影響を与えてしまい、この馬も外に弾かれたがなんとか立て直して優勝。他馬が立て直しを図っている間にまんまとぽっかり空いた内のスペースに突っ込んだハーツイストワールが2着したように全ての馬が全能力を出し切ったというレースではなかった。
出たなりで逃げも打てれば好位も取れる機動力は大きな武器だが、今回は前にタイトルホルダー、後ろに3走前に自身に楽なペースを作りながらも完敗したヴェラアズールがいる。好枠を引くことが大前提で、それでも楽な戦いにはならないだろう。
5着 ⑪ラストドラフト
掲示板確保組でキングオブドラゴンの影響を最も受けたのがこの馬で本来の2着馬。典型的な冬馬なのでこの時期は期待が高まるし、馬柱が汚れたのでAJC杯も引き続き買えると考えた。
これまでGIでは2019皐月賞と2021秋天で2戦しているが0.9秒,1.0秒差とそれほど大きくも負けておらず無欲の追い込みに賭けてヒモ荒れを狙うのも一手かもしれないが、おそらく本番は次だろう。
天皇賞・春(GI)
5/1 阪神芝3200m 外枠不利
天皇賞・春だがまず第一に外枠は不利。最初のコーナーまで300m弱の間にある程度内に潜り込めないとタイトなコーナーをずっと外を回らされる羽目になる。かといってこれだけ雨・雨・雨だと内も耕されるので、前に行きたい最内のアイアンバローズもスタート直後に馬力を使わされる事になる。
となれば⑤マカオンドール~⑫ハヤヤッコくらいまでが「好枠」と言えるだろう。
最後に、不利枠とはいえ⑯タイトルホルダーも⑱ディープボンドもご存知の通り悪馬場は鬼の部類に属するので、馬番だけでナメてかからないよう念押ししておく。
1着 ⑯タイトルホルダー
ゴミ枠の上、カラ馬に常に絡まれながら7馬身差の圧勝。
2着 ⑱ディープボンド
3コーナーからロンスパという奇策に出たが絶望的にエンジンに点火しない。最後は地力の差でなんとか3着テーオーロイヤルを交わしたがタイトルホルダーには決定的な差を付けられてしまった。
宝塚記念(GI)
6/26 阪神芝2200m フラット
2000mより200m後方からのスタートで最初のコーナーまで約525m。強い馬は容赦なく強さを見せつける良コース。
当週は高速馬場。宝塚記念には枠による優劣は無い。
1着 ⑥タイトルホルダー
気合いを付けてハナを叩きに行くが暴走王パンサラッサがそうはさせず2番手に落ち着く。1000ḿ通過が57.6の鬼ペースでレースは進んだが、それを楽々と直線入り口で先頭に立ってそのまま押し切り2馬身差の快勝。現役最強の称号をエフフォーリアから捥ぎ取って世界制覇へ夢を広げた。
4着 ⑮ディープボンド
春天では全く追い付けなかったので今回はさらに近くでタイトルホルダーをビタバリマーク。そしてまたもやおっつけまくるが差は縮まらず最後はデアリングタクトにハナ差交わされてソレ4ではタイトルとの勝負付けは済んだと見てよい。
6着 ④エフフォーリア
大阪杯(GI)では見せ場すらなく沈んだ前年度世界最強馬にとって復権を賭しての一戦だったがここでも不発。前年との落差が激しすぎてソウルスターリングもびっくりの早熟馬だったのか、それとも気力の問題か。未だそこは謎だが今回の有馬でほぼ結論は出るだろう。
11着 ⑱ポタジェ
昨年の堅実無比なキャラから今年は一発屋に変身して大阪杯で爆穴を演出。勢いに乗ってGI連覇を目論むもあえなく轟沈。
しかし有馬では追切りの動きが本気度Max。仮にこの馬やボッケリーニが好走すると久々にオケラ街道で金言が飛び交う。
「結局金子さんしか勝たん」
2021 有馬記念(GI)
2021/12/26 中山芝2500m 中枠有利
有馬は3コーナー手前がスタート地点となり、同条件の先週㈰最終レースを見る限りでは①~④番はスタート直後に最も荒れ気味の所を最初に通過する義務が生じている。外枠はコーナリングがキツイので元々不利だ。
⑦クロノジェネシス、および⑩エフフォーリアの2強にとっては正に絶好枠を引いたと言えるだろう。
1着 ⑩エフフォーリア
秋の天皇賞で3歳馬の身ながらも将来の顕彰馬候補コントレイルとグランアレグリアを撃破して世界の玉座に座ったキングオブホース。ここは歴史的名牝クロノジェネシスとの一騎打ちが予想されたが当の彼女は体調が思わしくなく実質一強。まざまざとその強さを見せつけ文句なしの年度代表馬に輝いた。
2着 ⑤ディープボンド
凱旋門賞帰りなのに渾身のデキ。あのクロノジェネシスに先着し、エフフォーリアとの差も僅かであれば翌年の躍進が期待されるのも当然である。
なお、2022年も凱旋門賞帰りだが、調整は順調と言えるので再度好走も十分にあり得る。
5着 ⑯タイトルホルダー
完璧に枠負けだが予想以上の好走。菊花賞を制したのはフロックでもなんでもなく、単純に強くなっていたのはその後の活躍を見てもお分かりいただけるだろう。
なお、本馬は未だ成長過程にあり、2023年はさらに強くなることが予想されている。
6着 ⑪アリストテレス
力負け。
12/25㈰中山競馬場の馬場
有馬記念は定番の外不利なのかな。その辺は馬場考察で。
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