写真:JRA
3/6㈰、中山競馬場で行われた第59回弥生賞(G2)は、道中2番手で運んだ田辺裕信騎乗の3番人気アスクビクターモア(牡、美浦・田村康仁厩舎)が直線早めに先頭に立ち、追いすがる昨年の朝日杯FS(G1)覇者ドウデュースでをクビ差抑えて重賞初制覇を飾った。良馬場の勝ちタイムは2:00.5秒。
では、どのようにしてこの結果になったのかを振り返ってみよう。
弥生賞
戦前
馬場は後方からでは出番がないわけではないが前有利。②メイショウゲキリン、③リューベック、⑥ボーンディスウェイが先導するレースはスローが予想されていた。
スタート
まず⑪ロジハービンが出遅れ。3頭の中で最も行く公算の高かった②メイショウゲキリンはあろうことか控える。この隙を見逃さなかった⑩アスクビクターモア田辺は③リューベックを前に置き2番手でレースを運ぶ。3番手が⑥ボーンディスウェイと、スローはほぼ確定していたので展開に恵まれる3頭がまず決まる。
道中
1番人気⑦ドウデュースは無理なく前を見れる5番手追走。反対に、陣営からもわずかに距離不安の声があった2番人気⑨インダストリアは引っかかって後ろで必死に制御。前有利の馬場で距離不安のある馬にこの状態は厳しい。
1000m通過は1:01.1のスローに耐えられなくなった⑪ロジハービンがここから玉砕覚悟のまくりを開始。3~4コーナー中間でドウデュースを被せると、鞍上武豊は一旦手綱を引いて勝負所で下げてしまい、これが勝敗に決定的な影響を与えた。(⑧ラーグルフもこの影響で大きく後退)
なお、ロジハービンはこれで今日の仕事は終わったと言わんばかりにここで一杯になる。
直線
ワンテンポ仕掛けが遅れたドウデュースが一歩先に抜け出したアスクビクターモアに外から並びかけようとするところ、今度はボーンディスウェイにタックルを喰らい一瞬行き場を失う。楽なペースを3番手追走した石橋脩の馬にはまだ余力があったようで、当然彼らも皐月賞(G1)の優先出走権をガチで獲りに来ているのだから、一番の力量馬に楽な競馬をさせないのはプロとして当たり前だ。
ゴール
二度の不利を被りながらもドウデュースは2歳王者の意地を見せたが、スタートから完璧にレースを運んだアスクビクターモアを捕らえる事は出来ず、生涯初の敗戦を喫した。そして、4戦連続中山2000mを選んだ3着ボーンディスウェイまでが皐月賞の優先出走権を獲得する。
4着以下馬の敗因
4着①ジャスティンロック・・余裕残しとスローの後方待機。ロジハービン。
5着⑨インダストリア・・若干の距離不安とかかり。
6着③リューベック・・展開に恵まれているため力負け。
7着⑪ロジハービン・・出遅れと自爆。
8着④アケルナルスター・・現状では少し足りない。
9着②メイショウゲキリン・・逃げ馬が控える。
10着⑤マテンロウレオ・・そもそもきさらぎ賞のレースレベルに疑問。
11着⑧ラーグルフ・・ロジハービンのまくりの犠牲および仕上がり不備。
まとめ
終わってみれば2022年の弥生賞ディープインパクト記念(G2)を制したのは出走11頭中唯一のディープインパクト産駒。なお、ディープインパクト産駒は2016年マカヒキから7年間で6勝目となった。
逆にこれで無敗のまま朝日杯を制した馬の次走は2001年以降9戦1勝。そう考えると至って順当な結果なのかも知れない。
そして今回最も重要な事は、如何にドウデュースをはじめとした有力馬にとって不本意なレース展開であったとしても「勝利したのはアスクビクターモア」であるという揺ぎ無き事実。
レース直後のSNS上では恵まれただけで本番は逆転するという意見が多かった。つまりアスクビクターモアの評価はほぼ上がっていないという事。
立ち回りの上手さが問われる中山コース、しかも本番と同じ舞台で完璧なレース運びをした馬が、さしたる逃げ馬も居ない本番で他の有力馬より前目でレースを運べば、今回と同じように最も不利を受けづらいのはこの馬ではなかろうか?
3着ボーンディスウェイ共々、レース運びが上手いという点はしっかり評価するべきである。こういう馬が人気の盲点になる事を皆様は痛い程ご存知のはずだ。
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