今週は阪神競馬場で第26回秋華賞(G1)が行われる。
秋華賞は1996年に3歳牝馬路線の整備のため新設された。それ以前の牝馬3冠目に該当するエリザベス女王杯(G1)は、秋華賞新設に伴って古馬に開放される事となった。
本日はエアグルーヴが惨敗したレースとして今もなお語り継がれる記念すべき第1回秋華賞の覇者ファビラスラフィンのお話。
ファビラスラフィン
プロフィール
生誕 | 1993年4月13日 |
性別 | 牝 |
父 | Fabulous Dancer |
母 | Mercalle |
母の父 | Kaldoun |
生産者 | Raymond Le Poder |
馬主 | 吉田和子 |
調教師 | 長浜博之 |
主戦騎手 | 藤田伸二→松永幹夫 |
生涯成績 | 7戦4勝 |
主な勝鞍 | ’96 秋華賞 ’96 NZT4歳S |
デビュー3連勝
- 新馬戦:阪神ダ1200m。7馬身差圧勝。
- さわらび賞:阪神芝1600m。5馬身差圧勝。
- NZT:東京芝1400m。朝日杯2着馬相手に余裕の逃げ切り。
〇外ダービー
1996年はクラシック競走に出走権を持たない外国産馬への配慮として秋華賞とNHKマイルカップが新設された。
これまで圧倒的な脚力で無傷3連勝中のファビラスラフィンは、この記念すべき第1回NHKマイルカップで1番人気に支持されるが惨敗。
〇外ダービーの初代王者に着いたのは柴田善臣騎乗のタイキフォーチュンだった。
第1回秋華賞
エアグルーヴ世代
この年のクラシック戦線を牽引したのはエアグルーヴ。
前年のいちょうSで常識外れの勝利後、阪神3歳牝馬S(G1)でビワハイジに負けて強しの2着。
そのビワハイジにチューリップ賞で5馬身差を付けて借りを返したエアグルーヴは桜花賞(G1)こそ熱発で回避したものの、オークス(G1)では見事に桜花賞馬ファイトガリバーを下し、世代最強を強く印象付けていた。
下馬評
「エアグルーヴが初代女王となるだろう。」
この下馬評どおりエアグルーヴは1.7倍の圧倒的一番人気に支持され、ファビラスラフィンはそれまでのスピード重視のレースぶりに加え、NHKマイルカップの惨敗が嫌われて18.8倍の5番人気の穴馬評価に過ぎなかった。
ところが
好発からファビラスラフィンは馬なりで好位4番手を進む。スピードタイプで逃げもあるかと思われていた馬は折り合いも完璧だ。反対に樫の女王エアグルーヴは3~4コーナー中間で既に手応えが怪しく、武豊のムチが飛んでいる。
エアグルーヴさえ馬群に沈めばもはや敵はいない。直線に入り先頭に立ったファビラスラフィンは2着エリモシックの追撃を悠々凌ぎ、初代秋華賞馬として歴史にその名を刻んだ。
秋華賞後
JC
四半世紀前は外国招待馬も日本競馬に対してアウェーでも通用していたので、凱旋門賞馬エリシオをはじめとした屈強な招待馬が顔を揃えた。
ファビラスラフィンは同世代の牝馬相手の2000mならなんとかなったが世界の強豪相手に2400mは不安と見られ、17.1倍の7番人気とまたも伏兵評価。
しかし、ファビラスラフィンは翌年ドバイワールドカップを勝つフランキー・デットーリ騎乗のシングスピールと互角の勝負を演じ、ハナ差の2着と健闘した。
有馬記念
既に余力の無かった有馬記念は10着に沈み、翌年は海外遠征のプランもあったがそのまま引退。これが最後のレースとなった。
引退後
繁殖成績
引退後は社台ファームで繁殖牝馬となり2013年に死亡。
9番仔ギュスターヴクライがオルフェーヴルを下して阪神大賞典(G2)を優勝。母同様、大本命馬相手に番狂わせを演じている。
表彰歴
1996年 最優秀4歳牝馬
馬名の由来
獲物を狙う肉食獣
まとめ
- エアグルーヴを沈めた初代秋華賞馬。
- JCでシングスピールと互角の勝負。
- オルフェーヴルが敗れた阪神大賞典勝ち馬の母。
- 同期にビワハイジもいる名牝世代。
JRAの新たな扉が開かれた1996年、芦毛の名牝ファビラスラフィンは天性のスピードを武器に外国産馬としてしっかりとその名を歴史に刻んだ。
同期のビワハイジとエアグルーヴは世界的な繁殖牝馬となったが、残念ながらファビラスラフィンはまだその域には達していない。
しかし、彼女の大物食いの血は脈々と受け継がれている。
彼女の名が再び世間の度肝を抜く日はいずれ必ず訪れるだろう。
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