【重賞展望】第84回オークス(GI)東京2400mの有利枠と不利枠

今週の馬場考察

2023 オークス当週の「東京芝2400m」

5/21㈰に東京競馬場で行われるオークス(GI)は芝2400m。
これは日本ダービー(GI)とジャパンカップ(GI)でも使用されるコースであり、内枠有利が定説となっている。しかし本当にそうなのだろうか?

  • オークスはBの4日目(10日目)
  • ダービーはⅭの2日目(12日目)
  • JCは乾燥の始まる秋開催のⅭ4日目(18日目)

このように条件が全部違う。キッチリ識別もせずに右に倣えでは馬場読みは成り立たない。

僅か2週でコース替わりに至る理由は傷んだ箇所を封印し、ダービーで絶好の馬場を提供したいから。
では、その傷んだ箇所が封印されていないオークスは?

当然浮上して来るべき疑問だと考えるが、皆さんはどうだろうか?

オークス過去10年成績

1枠 1-3-2-14 複勝率30.0%
2枠 3-0-0-14 複勝率16.7%
3枠 0-0-2-17 複勝率10.5%
4枠 0-1-3-16 複勝率20.0%
5枠 3-2-0-15 複勝率25.0%
6枠 0-0-0-20 複勝率0.0%
7枠 2-3-1-24 複勝率20.0%
8枠 1-1-2-26 複勝率13.3%

このようにオークスではさほど内外差は無いように見えるが、実際の所こんなデータには何の意味もない。

重要なのは

  • どのような馬が
  • どの枠に入り
  • どのような競馬をして
  • どのような結果になったか。である。

結論から先に申し上げると、私は例年オークス週の1600mと2400mでは極端な内枠には大幅な減点をしてから予想を組み立てるようにしている。

いつもの馬場考察同様、現実的に抗えない理由をこれから記していくので興味のある方はお目通し頂ければと思う。

B2週目とⅭ1週目の違い

先ず、昨年のオークスとダービーにおける向正面と最後の直線の画像。
オークスでは向正面の荒れも目立ち、最後の直線でインに活路を求めた馬がほぼいないことが分かる。

向正面

最後の直線

ダービーの上位2頭は1角までに悪枠の不利を受け、ここを回さざるを得なかった。
力が違うから出来た芸当。オークスでは3番手を進んだアートハウス川田が直線に入るや否や、外に思い切り振ったのを覚えている方も多いだろう。

前週の馬場

次に前週に行われる最後の芝レースであるヴィクトリアマイルの今年と昨年のゴール前画像を見て頂きたい。
距離こそ違えど、オークスと同じBコースで行われる前週の映像は宝の山なのだ。

2023 ヴィクトリアマイル直線

2022年 ヴィクトリアマイル直線

前目追走から直線でコースを選べるソダシが2年連続でここを選んでいるのがわかる。

続いて今年の京王杯SC(1400m)のゴール前。

スローペースの恩恵を余すところなく受けた2.3着馬(黄)を猛追してきた1.4.5着馬(水)が、ここを通って上がり32.5~33.0の脚を繰り出している。なお、ヴィクトリアマイルの超伏兵ディヴィーナはさらにもう少し外を回した。

今度はこの一つ前の土曜10R緑風S(2400m)でのルメールの動きに注目してみよう。
かかってしまったカーディナルを「行かせてしまうのなら」と、まず向正面の入り口で内ラチ沿いの悪い所を避ける準備をしているのがわかる。

そして番手以下との差があるのに内ラチ沿いを開けているのがわかる。

楽勝を確信したルメールは最後の直線は馬場の確認のため、敢えてここを通る。

これ以降の全芝レースに於いて、ルメールは一度して最後の直線で内を選ぶことは無かった。

高速馬場というファクターに目を奪われがちではあるが、既にもうインは伸びないと大半の騎手は認識している。知らされていないのはファンだけだ。

そして要となるオークスのスタート地点はどこにあるか?JRA-VANさんは親切なのでちゃんと載っている。一発で内枠不利と解るスタート地点ではなかろうか。

中央競馬を代表する主要コース。日本ダービーやジャパンCが行われる舞台だ。スタートは正面スタンド前直線から。スタート後、平坦のホームストレッチを走り、ゴール板を一度通過。そこからグルリとコースを一周する。最初の1コーナーまでの距離は約350m(Aコース時)。1コーナーから2コーナーにかけてはほぼ平坦。約450mある長いバックストレッチを通り、3コーナー手前にさしかかるところで緩い上り坂。3~4コーナーにかけては下り坂になっている。最後の直線に入ると、途中からなだらかな上り坂(高低差2.1m)。東京競馬場全体の高低差は2.7mある。最後の直線距離は525.9mで、新潟の外回りコースに次ぐ長さ。仮柵によるコース設定はA、B、C、Dの4パターン。3mごとに幅員が異なる。例年、Dコースは1~2月に使用され、芝内側部分を保護している。

ではなぜ好走枠が内枠というデータが出るのか?

そもそも論として東京芝2400mのフルゲートなら8枠の距離損は明らかで、これは馬場に影響されない。

ダービーは使い込んだ悪馬場を封じる仮柵をインから6mに設置するCコース初週なので内枠有利。

そしてオークスではAコースで3週、3m柵移動したBコースで2週使って翌週には封鎖される部分をスタート直後に走るのが内枠の馬。

ところが不思議とオークスでは世代№1、2を争うような名牝が①~④番を引き当て、彼女たちは力づくで上位入線してくるので、2016~2020年は5年連続で馬券になっている。昨年は人気薄の②スタニングローズが2着したが、戦前の評価がどうであれ、この極悪枠で馬券圏内に突入出来る力を示せばGIを勝てる力がある事が一発確定するのだ。

以上がオークスを含めた「東京芝2400mイン有利説のカラクリ」である。

過去10年で4番枠より内で3着内を確保した名牝たち

  • 2022 ②スタニングローズ 2着(後の秋華賞馬)
  • 2020 ④デアリングタクト 1着
  • 2019 ②クロノジェネシス 3着
  • 2018 ①リリーノーブル 2着、②ラッキーライラック 3着
  • 2017 ②ソウルスターリング 1着、①モズカッチャン 2着
  • 2016 ③シンハライト 1着
  • 2013 ③メイショウマンボ 1着
  • (2012 ③アイスフォーリス 3着)

これだけの世代最強メンツなら不利枠がどうこうという次元ではない。なお、2013年優勝馬③メイショウマンボは当時伏兵の立場だったが、後に秋華賞とエリザベス女王杯を立て続けに制覇する隠れ最強馬だったことが判明。11年前(2012年)3着③アイスフォーリスの激走はほぼ奇跡に近い。

彼女たちはスタートから1角までは多少の不利を被るも、ほぼ全てが最後の直線はしっかり馬場の真ん中に進路を求めて結果を出している。2019年3着②クロノジェネシスは終始インを進み、最後もインを突くという世紀の駄騎乗を犯しての敗戦だが、距離が長かったなどという見当違いな謎解釈を各所でされていた傍らで私は白い灰になっていた。

このように①~④番枠は騎手の判断次第では世界最強クラスですら思わぬ敗戦を招くことを念頭に置いておくべきだろう。折角なので超悪枠をこなせなかったくじ運の無い馬達も参考までに以下に記載する。

枠運で既に負けていた馬達

2022
  • ①ウォーターナビレラ 13着(桜花賞2着、阪神JF3着、ファンタジーS)
  • ③アートハウス 7着(当日2番人気、忘れな草賞)
  • ④ルージュエヴァイユ(当日5番人気)
2021 
  • ①ククナ 7着(桜花賞6着、アルテミスS2着、クイーンⅭ3着)
  • ②スルーセブンシーズ 9着(ミモザ賞)
  • ③パープルレディー 10着(ゆりかもめ賞)
  • ④タガノパッション 4着(スイートピーS)
2020
  • ①デゼル 11着(当日2番人気、無敗、スイートピーS)
  • ②クラヴァシュドール 15着(当日3番人気、桜花賞4着、阪神JF3着、サウジRC2着、チューリップ賞2着)
  • ③アブレイズ 17着(無敗、フラワーⅭ)
2019 
  • ①ジョディー 14着(赤松賞、クイーンⅭ3着、フローラS3着)
  • ③コントラチェック 9着(当日3番人気、フラワーⅭ、菜の花賞)
  • ④シェーングランツ 7着(アルテミスS)
2018

③マウレア 5着(桜花賞5着、阪神JF3着、チューリップ賞2着)

※④トーセンブレス取消。なおこの世代は春までALLの3頭立て。

2017
  • ③フローレスマジック 6着(アルテミスS2着、フローラS3着、クイーンⅭ3着)
  • ④ミスパンテール 10着(チューリップ賞2着)
2016
  • ①フロムマイハート 16着(スイートピーS2着)
  • ②アウェイク 12着(フローラS3着)
  • ④アットザシーサイド 11着(桜花賞3着、Fレビュー2着)
2015
  • ①レッツゴードンキ 10着(桜花賞馬)
  • ②マキシマムドパリ 8着(フローラS3着)
  • ③トーセンナチュラル 取消
  • ④ココロノアイ 7着(阪神JF3着、チューリップ賞、アルテミスS)
2014

①~④に有力馬無し

2013
  • ①レッドオーヴァル 17着(当日2番人気、桜花賞2着)
  • ②ブリュネット 16着(フローラS3着)
  • ④アユサン 4着(桜花賞馬)
(2012)
  • ①アイムユアーズ 4着(桜花賞3着、阪神JF2着、Fレビュー、ファンタジーS、後にクイーンS連覇)
  • ②マイネエポナ 17着(フェアリーS2着、アネモネS2着)
  • ④オメガハートランド 12着(フラワーⅭ)

1.2枠ほどではないが不利な8枠だった馬(過去11年)

東京2400mでタダでさえ忌み嫌われる8枠は好走率も低い。もちろん今回も不利な枠である事は間違いない。
ただ、大半の人は好走率と一般論までにしか目が届かないので、ここは過去どういった馬達が敗れて行ったかを見てみよう。

  • 2022 ⑯プレサージュリフト⑰ニシノラブウインク⑱スターズオンアース1着
  • 2021 ⑯ニーナドレス⑰スライリー⑱ステラリア
  • 2020 ⑯ウインマリリン2着⑰マルターズディオサ⑱サンクテュエール
  • 2019 ⑯ビーチサンバ⑰メイショウショウブ⑱フィリアプーラ
  • 2018 ⑯ウインラナキア⑰ロサグラウカ⑱オハナ
  • 2017 ⑯アドマイヤミヤビ3着⑰カリビアンゴールド⑱マナローラ
  • 2016 ⑯ジェラシー⑰ロッテンマイヤー⑱ダイワドレッサー
  • 2015 ⑯ノットフォーマル⑰クリミナル3着⑱ディアマイダーリン
  • 2014 ⑯クリスマス⑰フォーエバーモア⑱エリーザベスト
  • 2013 ⑯クロフネサプライズ⑰スイートサルサ⑱トーセンソレイユ
  • 2012 ⑯キャトルフィーユ⑰トーセンベニザクラ⑱ココロチラリ

8枠に入って来た馬達の大部分はお世辞にも世代の飛車角とは言い難く、好走率の低さは質の低さに直結していたことがわかる。3着以内馬は納得できるメンツだが、彼女たちがもう少し好枠を引いたとして2015ミッキークイーンや2017ソウルスターリング、2020デアリングタクトに果たして先着出来ただろうか?

そう考えればG1連対経験or3歳G2Vが条件の①~④番よりは劣るメンバーでも踏ん張れる模様。(昨年GⅢ勝ちまでしかなかったスタニングローズは後のGI馬)

既に国内屈指の存在にまで登り詰めたスターズオンアースなら⑱でも問題はなかったが、流石に多頭数の8枠は好枠ではない。

近年不調な6枠

ここもTwitterに載せておきましたので後ほどご確認ください。

まとめ:有利な枠 不利な枠

  • がベスト、それに次ぐのが
  • ①~は世代TOP3以内の能力が必須
  • は割引
  • ⑤⑥⑭⑮は可もなく不可もなく

過去10年のオークス3着以内馬30頭中9頭(30%)を送り込んだ白黒帽が今年も好枠と持て囃される事は毎週の馬場考察に全神経を注いでいる私にとって、同様に内枠有利と持て囃される皐月賞と並んで近年一番の楽しみであることがご理解頂けただろうか。

この記事をご覧になられた皆さんの枠順確定の楽しみが増していれば幸いである。

↓最後にモチベーションを下さい。本気で1位になりたい💦


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ブログ管理人
ぽぽん

【競馬歴】ミホシンザンが春天を制した日に父に東京競馬場に連れて行かれてから36年。初恋はダイナアクトレス。
【卒論】ヘイルトゥリーズン系の今後
【職歴】大学卒業後大手飲料メーカーに就職も博打の方が数倍割がいいので退職。4号機時代を全力で堪能したあとは体力の限界で引退。心を入れ替えて会社員に戻るも超つまんないので2022年に起業。
【お住まい】千葉県の農地

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