【第82回オークス(G1):回顧】ユーバーレーベン&M.デムーロ 天国の総帥へ最高の勝利を捧ぐ

重賞レース回顧

第82回オークス(G1)は、中団よりやや後方で待機した3番人気のユーバーレーベン(牝3、美浦・手塚貴久厩舎)が直線鋭く抜け出して優勝。1番人気の桜花賞馬ソダシは8着に敗れた。良馬場の勝ちタイムは2:24.5。

2着にはソダシを徹底マークした2番人気アカイトリノムスメ、3着にはほぼ最後方から直線で差を詰めた16番人気のハギノピリナが入り、3連単⑨-⑦-⑧は532,180円の波乱となった。

オークス下馬評

今回のオークスは無敗の桜花賞馬ソダシが距離不安を払拭し、春の牝馬二冠成るか?というところにフォーカスが当てられていた。

最大のライバルであるサトノレイナスがダービーに向かい、ほぼ勝負付けの済んだ相手関係からも二冠は濃厚と見られていた。

パドック

1番人気ソダシは特別良くも悪くもない。至って普通。

最高の仕上がりで挑んだのは勝ったユーバーレーベンであったことはレース前にTwitterでも挙げた。言葉は悪いが、1頭だけ男馬が混じっていると感じる程に凄まじい仕上がり。そして次位の仕上がりは全くノーマークだったタガノパッション。

この2頭が抜けて良く見えたので、前記事と印が変わってしまったことはこの場でお詫びしたい。

レース展開

全馬きれいなスタートを切り、ソダシが行くかと思いきや外から川田将雅騎手のステラリアが馬体を寄せ、譲らない構えを見せる。ソダシの鞍上吉田隼人騎手が躊躇している間に内から武豊騎手のクールキャットがハナを奪う。

折角の好発をフイにして無理やり抑えにいったため、ソダシは向こう正面手前までの800~900mをずっと掛かり通しで進んでしまった。

これは2400mのレースでなくともほぼ致命的である。

2番人気アカイトリノムスメはそのソダシの真後ろでピッタリマーク。私の週中の記事(【第82回オークス(G1)展望②】ダービーとオークスの決定的な違い)を彼が読んだとは思えないが、インが伸びないのを解っているⅯ.デムーロ騎手は向正面で既に外目のコースを通る。

あの仕上がりでこの進路取り、さらに圧倒的人気ソダシの不手際。レース開始から1分半で勝負はほぼ決まっていた。

最後の直線

あれだけ前半でロスがありながらソダシは意地を見せ、一瞬だけ先頭に立つがそこで力尽きる。ソダシを潰しに行った各馬もそこまで。

外から一気にユーバーレーベンが先頭に立つ。連れてハギノピリナ、内からアカイトリのムスメが伸びて来るも、ユーバーレーベンが見事押し切り、サラブレッドクラブ・ラフィアンによる悲願のクラシック制覇が遂に成された。

ウイニングラン

「日本一の相馬眼を持つ男」の異名を持つマイネル軍団の総帥、岡田繁幸さんは今年3月19日、自身の71度目となる誕生日にこの世を去った。

独自の生産理論に基づいた血を重ねられ、この大舞台に照準を合わせて極限まで鍛錬された愛娘、オークス馬となったユーバーレーベンの馬上から、M.デムーロ騎手は天に向かい鞭を突き上げ、手向けの勝利を故人に捧げる。

永らく競馬を見ているが、これには流石に涙腺が崩壊した。

岡田さんから競馬民へ

ユーバーレーベンは勝つべくして勝った。

悲願であったクラシック制覇を天国の岡田さんもさぞ喜んでおられることであろう。

これからの競争生活も怪我無く終え、後世にその血脈を繋げていってほしい。

「人の思いや気持ちは生き続けるんだよ」

岡田さんにそう語りかけられているような、ちょっとしんみりしつつも温かい。

ドラマチックで素敵なオークスだった。

 

 

※[Uber leben] 生き残る(独)

 

 

 

 

 

 

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ぽぽん

【競馬歴】ミホシンザンが春天を制した日に父に東京競馬場に連れて行かれてから36年。初恋はダイナアクトレス。
【卒論】ヘイルトゥリーズン系の今後
【職歴】大学卒業後大手飲料メーカーに就職も博打の方が数倍割がいいので退職。4号機時代を全力で堪能したあとは体力の限界で引退。心を入れ替えて会社員に戻るも超つまんないので2022年に起業。
【お住まい】千葉県の農地

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