【第82回桜花賞(G1)】出走馬全頭診断①

重賞レース展望

写真:JRA

桜花賞

4/10日㈰に阪神競馬場で桜花賞(G1)が行われる。待ちに待った2022年のクラシックの開幕だ。

春のG1シリーズが始まり前2週で1番人気が飛んでいる事もあるが、今回の桜花賞も木曜日の枠順発表から既に一筋縄では行かない雰囲気が漂い始めている。

目下のところ1番人気が予想されるのは前哨戦のチューリップ賞(G3)を鮮やかに差し切ったナミュール(栗東・高野友和厩舎)はすんなり大外⑱番を引かされた。先週の大阪杯(G1)では厩舎の先輩レイパパレがあと一歩のところで惜敗。妹分はその鬱憤を晴らしたいところだろうがイキナリの試練だ。

過去10年の桜花賞でチューリップ賞組は(5.7.6.29/47)と上位入線馬を多く輩出。今年のナミュールには2014年ハープスター以来となるチューリップ賞勝ち馬による桜花賞制覇がかかる。

次いで想定2番人気は昨年の阪神JF(G1)を制したサークルオブライフ(美浦・国枝栄厩舎)でこちらも外枠⑯番。チューリップ賞ではナミュールの後塵を拝したものの、昨今の牝馬G1戦線では文句のつけようのない成績を残す厩舎のエース格であり、再度の戴冠は十分狙える位置にいる。しかも2番人気は2018年から実に4連勝中と絶好調。

今年の桜花賞はこの2頭を中心として展開していくことになるが、枠順の悪戯も踏まえると虎視眈々と女王の座を狙う伏兵陣にも警戒を怠ってはならない。過去には幾度となく大波乱が巻き起こった舞台であり、近10年で7~9番人気も(2.2.3/23)と、穴馬にも十分にチャンスがある。

それでは順に出走各馬の全頭診断をしていこう。前回の大阪杯展望同様、全ての馬にチャンスがある前提での評価となる。

 

 

出走馬全頭診断①~

①ナムラクレア

新馬戦を3着負けたものの「折り返し」のフェニックスSで初勝利を挙げるという異端児ナムラクレアは勢いそのままに小倉2歳S(G3)を連勝し、その後も強敵相手に好戦。派手さはないが堅実な末脚で上位進出を目論む。

思えば小倉2歳Sを制した後、善戦するものの勝ち切れず人気を落とすというキャラはレーヌミノルと被るが、そのレーヌミノルは落ちた評価に反発するように桜の舞台で輝いた。

また、父ミッキーアイルは今回コンビを組む浜中と共にマイルG1を2勝。父を熟知する男だけに娘の扱い方も心得ているに違いない。

 

②カフジテトラゴン

2/6の抽選を掻い潜り、Bコース替わりの18頭立て阪神マイルで②番枠を引き当てるという幸運の塊のような馬。

人気どころに外枠の後方待機勢が多く、意地でもハナを切るという同型不在でこの人気なら大逃げをカマしてみても面白い。

前5走をダートで走った馬が馬券に絡むようなことがあれば緊縮財政とおさらば間違いなしだ。

③アルーリングウェイ

一昨年は3冠牝馬デアリングタクトを輩出して一躍脚光を浴びたが、そもそも毎年のように侮れない馬を送り込んでくるエルフィンSからの参戦。

そのエルフィンSでは良血馬ママコチャやルージュラテールといった骨のある相手に完勝。また、デビュー2戦目ではシンザン記念の勝ち馬マテンロウオリオンと好勝負を演じており、レースセンスには光るものがある。

人気馬が後方で詰まり、前残りの展開が訪れようものなら祖母アル―リングタクトや叔母アルーリングボイスら一族の悲願を叶えるシーンも十分。

実は新馬戦からちょこちょこお世話になっていて思い入れがあるアネゴハダ。世代重賞を4戦して(0.0.2.2/4)の成績は威張れるほどではないが、自分の能力分はきっちり走るという点は大阪杯のポタジェに通じるところがある。

前走のフィリーズレビュー(G2)にしても、逃げ先行馬壊滅の流れを只一頭前目で頑張った事はもっと評価されていい。

④パーソナルハイ

カフジテトラゴン同様、幸運の塊のようなヒキを持つ。父ディープインパクト、母も米G1馬(2014 デルマーオークス)という親ガチャ結果からも、ともすれば2/6抽選の運勝負には圧倒的な自信があったかも知れない。

差しに回ると少し甘いが逃げた2戦は初勝利+スターズオンアースに先着した赤松賞と2戦2連対。抽選出走組2頭が後続を離して大逃げ争いを演じるようなことになれば2009年エリザベス女王杯クィーンスプマンテの再来も。

 

⑤ピンハイ

デビュー2戦目となったチューリップ賞の激走で一気に全国区となったピンハイは多くの穴党に支持されて人気急上昇。その存在感はもはや伏兵とは呼べないものとなっている。

開催替わり初週である10/10㈰の阪神1400mなら圧倒的に内前有利。そこを大きく立ち遅れ、直線も進路を見出せなかった中で一頭だけ違う伸びを見せて差し切った新馬を再確認したが、そもそもチューリップ賞の13番人気が不当であったと言わざるを得まい。

私は完全に不当人気であった別の馬、サウンドビバーチェ(8人気4着)と心中していたのでピンハイには酷い目に遭わされたが、小柄な馬体を更に減らして(-6㎏)出遅れながらもあれだけ頑張られては脱帽するしかなかった。

当然今回は激走の反動が怖いが、ナミュールとサークルオブライフという現時点で最上位評価を得ている2頭に割って入った地力は無視できない。

そして鞍上・高倉稜にとってはG1初制覇の大チャンス到来であることも付け加えておこう。

⑥ウォーターナビレラ

以下は阪神JF(G1)回顧記事から引用。

3着⑬ウォーターナビレラ

確実に好発を決め、馬なりで先手を奪うスピードを持ち、直線で2枚腰を使うという本命党に愛される要素を全て備えたウォーターナビレラ。

鞍上武豊にとって1994年ヤマニンパラダイス以来27年ぶりとなる阪神JF2勝目も期待されたが、残念ながら無傷4連勝での戴冠とはならなかった。

ここもいつものように好発から先手を奪いに行くが、内からトーホウラビアン、外からダークペイジに被せられて控える競馬。

離れた3番手から直線入り口で先行2頭を交わして一旦は完全に抜け出すが、最後は1~2着馬の決め手に屈した。

先行スピードタイプのため止まっているように見えるが、実際は上位入線馬の中でも平均的な上がり(34.5)で走破していることは覚えておこう。ただ、血統的に見ても1200m~1600mがベストパフォーマンスを発揮出来る条件であることは恐らく間違いではない。

また、ピッチ走法で悪天候とダートにも適性があると思われる。年明け初戦はフィリーズレビューになるだろうが、今から雨乞いをしても良いかも知れない。

桜花賞やNHKマイルⅭ、あわよくばオークスまで十分走破圏の能力を持つが、仮に今後成績が振るわなくなった時にひょっこり重馬場の1800m重賞などに出走して来たら迷わず狙い打ちする価値がある馬だ。

と思っていたが何故かチューリップ賞からここへ。この見立てが正しければ恐らく次走はNHKマイルカップ(G1)に向かうだろう。

5戦全て良馬場で走っているこの馬の雨適性については想像の範囲は出ないが、少なくとも私は適性アリと踏んでいたので当日の晴天と良予報はこの馬にとって好材料ではない。しかし、世代牝馬の最強決戦ならばこそ文句の付けようのない条件で施行される事は我々ファンにとっても望ましい事だ。

阪神1600mは枠順の有利不利が顕著と言われて久しいが、ペースを作る馬が内にいるのに⑥番枠というこの上ない好運を引き寄せたならばレースもし易いはずで、2004年ダンスインザムード以来となる武豊の桜花賞6勝目がこのラッキーガールによって齎されても不思議はない。

⑦サブライムアンセム

僅か1か月の間にトントン拍子に出世の階段を駆け上がってきたサブライムアンセムだが、それに反して評価はさほど上がって来ていない様子。外部の評価が上がらないのに出世しているという所謂「要領が良い馬」である。

1着馬が降着して繰り上がり優勝の未勝利戦、続くフィリーズレビュー(G2)では前が暴走して展開有利と確かに周りを利用しつつ上手く立ち回っていることが窺える。

チューリップ賞や牡馬混合戦組と比較して軽視されがちなフィリーズレビュー組ではあるが、こちらも過去10年で2頭の勝ち馬を出している正統トライアル。そこをレースレコードで制した馬にとって今の時計の出易い阪神は好材料であり、レーヌミノル以来5年ぶりとなる勝利も十分考えられる。

一応、望来のG1初勝利も考えられないこともない…

⑧スターズオンアース

現状では本馬が世代牝馬の基軸となっていると考える。中途半端な相手には負けず、2度の重賞2着も運び方次第では連勝もあった濃い内容。鞍上に川田を配した今回は惜敗続きにピリオドを打つ可能性を十分に秘めている。

誰が見ても絶好枠であるここから人気薄の逃げ馬に続くアルーリングウェイやクロスマジェスティ、ウォーターナビレラの後ろに付けて、いつでも仕掛けて行ける脚質ならば大崩れは考え難い。

また、父ドゥラメンテは菊花賞でタイトルホルダーが優勝、先週の大阪杯ではアリーヴォがあわやの3着と阪神G1で産駒の好走が目立つのも心強い。

⑨クロスマジェスティ

2016年皐月賞(G1)で波乱を演じたディーマジェスティの娘が前哨戦のアネモネSにて演出した波乱はあっさりと父を超える規模。

どうしても彼女の名を聞くとかつての巨人の名助っ人であるW.クロマティが脳裏を過る。風船ガムを噛みながら軽々と特大のアーチを描く彼の背番号は「49」。

彼女は今回5枠⑨番。現実的に4枠⑨番は今は不可能なので惜しいけれども仕方ない。

そして風船ガム野郎と言えば当然バブルガムフェロー。彼は今年2月に調教師を勇退した藤沢和雄氏に素質を見出され、3歳にして天皇賞・秋(G1)を制した名馬だが、思えばディーマジェスティの祖母シンコウエルメスも藤沢氏の熱意によって繁殖牝馬への道を繋げられた馬。アドリブで作った文にしては奇妙な偶然だ。

過去10年で1頭も桜花賞好走馬を出しておらず、本番に直結しないトライアルと揶揄されて久しいアネモネS組だがチェッキーノのような爆裂素質馬が紛れている例もある。思えばそのチェッキーノも藤沢氏の管理馬だった。

オカルト要素満載だがそれが功を奏するのも競馬の醍醐味ではなかろうか?

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